コラムでおなじみのkamの

               施工チェックレポート

こんにちは、kam(カムと読んでください)です。
普段はコラムやメルマガで私のことをご存知の方が多いと思います。
このページでは、私が施工チェックをするインスペクター(施工チェックの調査担当)の先生にくっついて、施工現場の現状をお伝えします。実際の施工では、お客樣(施主)が知らなくて、損をしているケースが多々あります(損どころでなく危険なこともあります)。どんなところがポイントなのかをチェック例を一緒に見ることで疑似体験してみてください。

Aさんの工務店の場合(忘れ・連絡ミスあり、でも大工の方はイイ人でした) 

  4回の施工チェックを5回に追加変更しての最終チェックです


さあ、先生の目が光ります!
今回のインスペクターの「秋本先生」です。

先生の得意な工法は、在来軸組み工法です。

私がお邪魔した現場は、千葉県のAさん宅で、今、流行の木造3階建てです。木造で3階建てを立てる場合の基本は、

・1階がしっかりしていること
 (1階が駐車場になる場合は、すじかい[柱を斜めに固定する木や鉄筋]がしっかり入っているか確認。建売はこれがなく、j地震に脆い違法建築が多い)

・柱にしっかりした木を使う(12cm以上の角材)

・地盤調査をした上で、地盤改良、設計していることを確認する

以上がポイントだそうです。

今回の施主のAさんです。

実は、現在5回目のチェックで、4回目までにチェックした内容(改善希望点)がしっかりと直っているかの確認がメインでした。

この写真は、
前回のチェック確認をする旨を伝え、設計図を再度説明する先生です。

大工さんと先生の写真

前回の改善希望点について、どのように手を加えたかを説明してくれました。

秋本先生が言いました。

「第4回目のチェックまでは、ちょっとした忘れや行き違いがあったため、心配もしましたが、私が施主に伝えた改善希望点を大工の棟梁が率直に受け入れてくれて、直してくれたので、この現場は棟梁も気が付かなかった意外な落とし穴が改善されて良くなったと思う。」

私(kam)も良く聞くことですが、良い大工さんというのは、良い腕を持っている他に、施主から指摘を受けたときに、しっかりと対応してくれるかどうかにある、といいます。

ハウスメーカーでは、棟梁と施主の間にいろいろな人が介在しているので、ちょっと複雑かもしれませんね。

改善希望点と改善結果 ▼

これより、下は大工さんのチェック漏れを先生が見つけて、施主に報告した結果、大工さんが直してくれた個所です。こちらの現場で粗探しをしたという風には取らないでください。大工さんも人間ですから、忘れや行き違いがあります。そのために、監理や監督がしっかりしなければならないのですが、この現場では、その機能が上手く働かなかったケースといえます。実際、日本の工務店・ハウスメーカー・建売・条件付など多くに見られる問題です。

ちなみに、こちらの棟梁は本当にイイ方でした。追加工事もあったのですが、施主の方に文句を言わずにしっかりと最後まで付合ってくれたのです。

補強金具の忘れ

3階建ては、とにかく柱が大切。

その柱と床(床下の梁)の結束を補強する金具が一部、設計図通りについていませんでした。
※赤線で囲った金具

指摘後の追加作業だったため、床板の切りこみが通常の切り方より、ちょっと雑になっていることがわかります。しかし、実際にこの部分は、壁の中に入るので住む上でも、安全面でも問題ありません。

ねじの閉め忘れ

ねじを締めるところはたくさんあるけど...。

こちらは、補強金具をとめるねじが1箇所だけ抜けていました。写真では、指摘した個所にしっかりとねじが入っています。

ねじをたくさん使う金具なので、「1つぐらいは、なくても大丈夫かな?」と一瞬思うようなところですが、施主の方にとっては、気持ちのいいものではありませんよね。

この金具を使う個所は、たくさんあるのですが、先生は見逃しませんでした。


写真1

設計図の行き違い

大工さんに設計図が行かなくては、仕様通りにできない。

まず、左の写真1を見てください。こちらは、1階の天井です。ここが問題の個所です。


都合により施主様の顔は隠させていただきました。

写真2


写真3


写真4


写真5
実は、前回のチェック時に設計図通りでないことが分かったのです。前回まではどうだったかというと、写真2の赤線で書いたAの木と、それを支える写真3のBの木だけでした。

設計図では、実はAの木は太さがもっと太いを使用する設定だったのですが、設計者と施工者の行き違いで大工さんにその図面が渡っていなかったのです。そして、昔の住宅の仕様では、Aの木の太さで良かったために、大工さんの段階でも気づかなかったというのです。2階の天井も同じでした。

しかし、この住宅は3階建てです。
これでは、地震の際に横揺れにもろくなってしまいます。しかも、工事は3階まで進んでいる状況でした。『今からやり直しは効かない』ところまできていたのです。

そこで、この件を施主を通じて設計者に言ったところ、写真4の太いCの木を入れて補強することになりました。DはCを下から支えるためのものとしてさらに追加されました。

「天井が下がるのでは?」と、考えられた方もいるかもしれませんが、梁(柱を横からつなぐ木)の太さがC・Dを加えたものよりあったので、問題ありませんでした。
※実際に1階と2階の間は、結構な間があるのです。

写真5では、先生が施主に説明しています。「大工さんからは、2階天井も同様の補強を入れてもらう確約をしていますが、一応、お客樣も確認してみてください

人間のミスによるちょっと恐い「忘れ」でした。
壁が貼られる前のチェックだったので、良かったと思います。壁が貼られてからでは、壊さないとできないですから。

上記のような「忘れ・行き違い」はどこの現場にも起こることですが、壁でフタをして見えなくなってからでは、問題が起こらないと発見できません。あなたは、どこまで骨組みに興味を持ち、施工者のミスを発見できますか。
悪徳業者(特に建売に多い)は、上記のミスを故意に行ないます。建材代が安く済みますから...